エアコンは、真夏や真冬でも室内を快適な温度に保ってくれる便利な家電です。今や私たちの生活になくてはならない存在ですが、エアコンを使うことによって環境に与える影響を考えたことはあるでしょうか。
実は、エアコンを使うことで、間接的に二酸化炭素の排出量を増やしてしまう可能性があります。今回はエアコンを使うことによる環境への影響についてお伝えするとともに、どうすれば環境に優しい使い方ができるのかについても解説していきます。
目次
エアコンを使うと地球温暖化につながる?
地球温暖化は、近年私たちが直面している最も深刻な環境問題の一つです。その大きな要因として、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの存在が注目されるようになってきました。
では、私たちの生活に欠かせないエアコンが、どのようにして地球温暖化に影響を与えているのでしょうか?
地球温暖化の原因は二酸化炭素
地球温暖化の主な原因は、大気中の温室効果ガスが増えたことです。その温室効果ガスの中でも、最も多く排出されている二酸化炭素が、特に大きな影響を及ぼしていると言われています。
二酸化炭素などの温室効果ガスは、大気中の熱を取り込んで地球の温度を維持しており、地球の生態系を維持するために重要な役割を担っています。
一方で、大気中の二酸化炭素の量が増えすぎると、熱がこもってしまうので、地球の温度が上昇する要因となります。地球温暖化が進み、環境にも悪影響を及ぼすことになってしまいます。
日本では、約80%の電力が化石燃料を燃やして発電する「火力発電」によって供給されているため、電気を使えば使うほど二酸化炭素の放出量は増えることとなります。
エアコンの消費電力
多くの人がエアコンを使う夏場は消費電力も大きくなります。例えば8月の首都圏の1世帯あたりのエアコンの電力消費量平均値は4.2kWh/日です。(※1)。使用機種や時間帯、家族構成などで大きく異なるものの、1か月間で約130kWhの電力を消費していることになります。これは日中に一般家庭で消費する電力量の6割を占めます。
多くの電力を用いるエアコンの使用により、地球温暖化にどのように影響しているかを理解することがいかに大切かがおわかりいただけると思います。これからの地球環境を考え、環境に優しい生活を送る上でも重要な事柄です。
(※1)出典:環境省 ・平成 25 年度家庭における電力消費量実測調査 (https://www.env.go.jp/earth/report/h25-06/mat01.pdf)
二酸化炭素を減らすには
環境を最も大事に考えるなら、温室効果ガスを減らすことが最優先です。ただし、真夏の暑さと湿気がひどい環境では、エアコンなしで生活するのは難しいでしょう。熱中症などの健康被害を引き起こすリスクが高くなります。
エアコンを使う際に簡単な対策を取ることで、エネルギー消費を抑えて二酸化炭素排出量を削減することができます。具体的な対策として、次の3つをご紹介します。
適切な温度設定
エアコンの消費エネルギーを抑えるには、設定温度を適切に管理するのが効果的です。例えば夏場の冷房時は、室温を28度にすることが推奨されています。冷房利用の際、設定温度を1℃上げるだけでも消費電力量は抑えられます。
ただし、近年は夏の間危険な暑さが続くケースが増えています。部屋の環境やそれぞれの体調に合わせ、無理のない範囲で設定温度を上げることをおすすめします。また外出時や就寝時にはエアコンの運転を自動で停止させるタイマー機能を利用するのもいいでしょう。
定期的なエアコンのお手入れ
エアコンの性能を維持するためには、定期的に手入れをしましょう。フィルターのホコリや汚れが原因で、電力を多く消費してしまいます。定期的にフィルターの状態をチェックするよう心がけましょう。おおよそ2週間に1回の目安でフィルター掃除を行います。
フィルターをこまめに掃除していても、エアコン内部には少しずつ汚れが蓄積していきます。1年に1回は専門業者によるエアコン内部のクリーニングを行う必要があります。専門的なクリーニングを行うことで、ふだんの手入れでは落としにくいエアコン内部の汚れやカビも除去でき、エアコンの効率が上がります。
清潔な室内環境作り
エアコンの清潔を保つためには、室内全体をきれいにする必要があります。室内の汚れやホコリが取り込まれると、エアコンのフィルターや内部が汚れる原因になります。
室内のホコリや汚れによってエアコンのフィルターが目詰まりしやすくなると、エアコンの効率を低下させてしまいます。そこでエアコンの使用方法に配慮するだけでなく、室内環境を清潔に保つことが鍵となります。ホコリやペットの毛を除去するなど定期的に部屋の掃除を行い、エアコンの負荷を減らしましょう。エアコンの負荷を軽減できれば、エネルギー消費を抑えることへとつながります。
エアコンクリーニングが環境に優しい理由
エアコンクリーニングを行うことは、室内の空気を清潔に保つだけでなく、消費電力の削減にも貢献する「環境に優しい」お手入れ方法とも言えます。ここからは、エアコンクリーニングが環境に対してプラスの影響をもたらす理由についてご紹介します。
エアコン効率が上がる
エアコン内部にホコリや汚れがたまると、空気の流れがさまたげられ、エアコンの性能が低下する原因となります。そのため、エアコンの温度調節に必要なエネルギーが増え、エアコン効率も大きく低下してしまうのです。
定期的にエアコンをクリーニングすることで、エアコン内部を清潔に保つことができます。これにより、熱交換の効率がアップし、エアコンの性能をよくします。
消費電力が少なくなる
エアコンクリーニングを行ってエアコンの効率が良くなれば、室内を快適な温度に保ちながら、電力を最小限に抑えられます。
それぞれの家庭で電力消費が少なくなれば、発電所での化石燃料の使用量も減らせます。二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量の削減にも繫がります。
自宅でできるエアコンの掃除手順
エアコンが清潔な状態に保たれれば、エアコンの効率そのものがよくなるとお伝えしてきました。エアコンの効率アップにより、消費電力を減らせて、結果的に環境にも優しい生活ができるようになります。エアコンをキレイに保つため、気軽に手入れできる部分がフィルターやカバーです。フィルターやカバーなら自宅で掃除ができます。
フィルターの掃除
エアコンのフィルターは、ホコリや花粉などの空気中の微粒子をキャッチし、エアコン内部に汚れが侵入するのを防ぐ役割を担っています。フィルターが汚れると、汚れを取り除く効果が薄れて、エアコン内部が汚れやすくなる原因になります。フィルターの働きが鈍ると、エアコンの冷却効率や空気清浄機能も低下してしまいます。
フィルターは、2週間に1回を目安に掃除するのがおすすめです。エアコンによってはフィルターを取り外せない機種もあるため、取扱説明書を確認してから作業を行いましょう。
カバーの掃除
エアコンのカバーもホコリや汚れがたまりやすい箇所です。空気中のホコリや微粒子からエアコンを守る役割を果たしているため、カバー自体に汚れが付着してしまうのです。カバーを清潔に保つことで、エアコン内部へのホコリの侵入を防ぎ、エアコンの効率をキープできます。
詳しい掃除手順はこちらの記事を参考にしてください。
エアコン内部は自分で掃除できない
エアコンを清潔に保つことはさまざまなメリットをもたらします。しかしエアコン内部には多くのパーツが組み込まれており、中には水濡れ厳禁の部品も存在します。専門的な知識と道具がないと適切に掃除することは難しいでしょう。場合によっては故障などのトラブルにもつながります。エアコン内部のクリーニングは、専門の技術を持ったプロに依頼するのが最も安全で効果的な方法です。
専門業者によるエアコンクリーニングも重要
エアコンを効果的に長く使うためには、定期的なメンテナンスを行わなければなりません。基本的なお手入れを自ら行うのは大前提として、より丁寧なメンテナンスには専門知識を持つプロの力が必要です。専門家にエアコンクリーニングをお願いすると、次のような良い点があります。
内部まで徹底的にクリーニング
専門業者のエアコンクリーニングは、エアコンの各部品を適切に分解して行います。専用の洗浄剤や高圧洗浄機を使用するため、内部の汚れを徹底的に除去できます。ふだんのお手入れでは手が届かないエアコン内部の汚れやカビもキレイに掃除してもらえます。
エアコン効率が良くなる
内部の汚れが除去されることで、エアコンの熱交換効率が大きくよくなります。設定温度になるまでの時間も短縮され、省エネルギーでの運転が可能になります。エアコンの性能がよくなることで、電気代の節約にもつながり、環境への負担を減らせるのです。
エアコンが長持ちする
定期的なプロのクリーニングにより、エアコンの劣化を防ぎ、故障のリスクを大幅に減らすこともできます。内部の汚れが原因で発生する可能性のあるさまざまな問題を未然に防ぐことができ、エアコン自体の寿命を延ばすこともできます。
カビや菌の増殖を防げる
プロのクリーニングでは、カビ、雑菌の効果的な除去にも重きを置いています。エアコンからの不快な臭いを取り除くのはもちろん、室内の空気の質を改善させ、安心して快適に過ごせる室内の状態をよいままに保てます。
手間がかからない
エアコンの掃除は大切ですが、自力で徹底的に掃除するためにはそれなりの時間や労力が必要です。また適切な道具や洗剤をそろえるなどの手間もかかります。
プロに依頼すれば、そういった手間をかけずにエアコンをキレイな状態に保つことが可能です。また専門家のクリーニングサービスを利用することで、作業中の事故や故障など、さまざまなトラブルのリスクも回避できます。
エアコンクリーニングで環境を守ろう
現代の厳しい気象環境では、エアコンは欠かすことができないアイテムです。あまりにも身近な存在のため、環境に与える影響は見過ごされてしまいがちです。
エアコンは、特に夏場の冷房や冬場の暖房時に大量の電力を使い、多くのエネルギーを消費します。電力の多くは石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させて生成されます。電力消費が増えれば燃焼量が増加し、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素の排出量も増加してしまうのです。
定期的なエアコンクリーニングにより、エアコンの効率を向上させることができれば、必要なエネルギー消費を抑えることができ、二酸化炭素排出量の削減に貢献することもできます。
その上、エアコンクリーニングでは、エアコン自体の寿命を延ばす効果も期待できます。エアコンが長持ちすれば、頻繁なエアコンの買替えに伴う製造や廃棄時の環境負荷を減らすことにもつながります。エアコンの適切な使用と定期的なお手入れを心がけ、快適な室内環境と地球環境の保護を両立させましょう。