エアコンを何年も使っていると、「何だか風がカビ臭いな」「エアコンの効きが悪くなってきたような気がする」と感じる時期がやってきます。
日頃からフィルターを掃除していても、エアコン内部には少しずつ汚れがたまっていきます。長い間汚れが蓄積すると、異臭や異音、エアコン効率の低下などにつながることがあります。
エアコンにこのような症状が出ている今こそ、メンテナンスのタイミングです。早めにエアコンクリーニングを検討しましょう。今回はなぜエアコンクリーニングが必要なのかを詳しく解説するとともに、その効果についてもご紹介します。
目次
エアコンクリーニングとは?
エアコンクリーニングは、エアコンの性能を維持し、長持ちさせるために必要なメンテナンス作業です。エアコンを分解し、専用の高圧洗浄機を使って内部やパーツに付着したホコリ・汚れ・カビを洗浄します。フィルターの掃除など一般的なお手入れとは異なり、手の届かない部分まで徹底的にキレイにする専門的な作業です。
エアコンクリーニングの基本と手順
ではプロの業者はどのような工程を経てエアコンクリーニングを行っているのでしょうか。順を追って詳しく見ていきましょう。
エアコンの周囲を養生する
エアコンクリーニングは水での洗浄を行うため、周囲に水が飛び散らないような養生が必要です。分解の後、取り外せるパーツは外して風呂場などで洗浄します。
ただし取り外せない部分や壁に設置したまま洗浄する箇所もあるため、洗浄時の水や汚れが周囲に飛散するのを防ぐ養生が必要となってきます。エアコン本体はビニール袋で覆い、壁面や電装部分の養生を行います。エアコンの下部にあたる床には防水シートなどを敷いて、汚れないようにします。
エアコンを分解する
エアコンのフィルターやカバーを取り外し、洗いやすくするために内部の部品を外部から見える状態にします。「完全分解洗浄」を行っている業者の場合は、さらに内部のパーツも取り外していきます。エアコンは機種によってそれぞれ構造が異なります。クリーニングが終了した後に、正確に組み立てるには専門的な知識が欠かせません。
高圧洗浄で内部クリーニング
エアコン内部は、専用の洗剤や高圧洗浄機を使って徹底的に洗浄します。エアコンクリーニングを行うことで、手が届かない奥の方の汚れやカビも除去できるメリットがあります。
ただし、エアコン内部には水濡れ厳禁の部品も少なくありません。トラブルを防ぐためには、慎重な作業が求められます。また部品を濡らさないための高度な技術も必要です。
取り外したパーツを洗浄
フィルターやカバー、内部の部品など、取り外したパーツをそれぞれキレイに洗浄します。取り外した部品は洗浄後、しっかりと乾燥させます。その後、元通りになるよう丁寧に組み立てて終了です。
なぜエアコンクリーニングが必要なの?
エアコンを長期間使っていると、エアコン内部にはいろいろな汚れが蓄積されていきます。定期的なフィルター掃除では取り切れない汚れが内部にたまり、さまざまなトラブルや問題が起こることを避けるためにも、エアコンクリーニングを定期的に行い、清潔に保つことが重要です。
エアコンが汚れる原因とリスク
なぜエアコンは、長期間使っていると汚れてしまうのでしょうか。汚れによって生じるリスクとあわせて詳しく解説していきます。
ホコリや汚れで負荷が大きくなる
エアコンは室内の空気を吸い込み、温度を調整してから室内へ送り出す仕組みで動いています。空気中には目に見えないホコリや汚れの粒子が含まれています。長期間使っているとその汚れがエアコン内部に少しずつ蓄積されていくことになります。
そうしてエアコン内部に汚れがたまると、空気の通り道が徐々に狭まります。スムーズに空気を取り込む・送り出すことができなくなり、エアコンの性能も低下します。設定温度に適した風を出すために必要以上に電力を消費することになり、電気料金が高くなる可能性も。また、エアコンの負荷が増加することで、故障しやすくなるリスクも高まります。
エアコン内部の結露
冷房運転や除湿運転をすると、エアコンが取り込む空気と内部に温度差が生じます。温度差が大きくなると、エアコン内部では結露が発生します。
冷えた水をコップに入れた時、コップの周囲にたくさんの水滴がつきますよね。空気中の湿気が冷たいコップの表面に触れて冷やされ、水蒸気が水滴に変わって付着しているのです。エアコン内部でも同じ現象が起こっています。
加えてエアコンは密閉度が高く、結露が乾きにくい構造となっています。冷房運転や除湿運転を使う期間は常にエアコン内部の湿度が高い状態です。空気中のカビ菌も取り込んでしまうと、気がつかないうちにエアコン内部がカビの温床となっていることも考えられます。
カビが増殖する
高温多湿で、エサとなるホコリがあるエアコン内部は、カビが増殖するのに最適な環境です。パーツで隠れているエアコンの奥はお手入れがしにくく、汚れがたまりやすい箇所のためカビが増殖している可能性が高くなります。
増殖したカビの胞子は、エアコンから吹き出される空気に乗って部屋中に広がってしまいます。室内にいる人は無意識にカビを吸い込み続けることになり、健康被害につながるおそれもあります。免疫力の弱い乳幼児や高齢者のいるご家庭では特に注意が必要です。
自動お掃除機能付きエアコンにも限界がある
最近では、自動お掃除機能付きのエアコンも多数販売されています。「自動でお掃除するから、メンテナンスしなくてもいい」と期待してしまうかもしれません。しかしほとんどの機種は、フィルターのみの掃除機能となっていることに注意が必要です。
もちろんフィルターがキレイな状態であれば、エアコンの内部に侵入する汚れは最小限にとどめられます。一方で、長期間エアコンを使っていれば、どうしても汚れはたまっていきます。自動お掃除機能ですべてをキレイにするには限界があるのです。
またお掃除機能付きエアコンは、他のエアコンと比べて部品が多く、内部の密閉度が高い傾向にあります。冷房運転や除湿運転により発生した結露が乾きにくく、カビも発生しやすいのが特徴です。
エアコンクリーニングの驚くべき効果
徹底したエアコン内部の清掃とメンテナンスを行うエアコンクリーニング。エアコンクリーニングを行うことで、多くのメリットが得られます。具体的な効果を挙げて紹介します。
エアコン効率がよくなる
エアコンクリーニングにより、エアコン内部にたまったホコリやカビなどの汚れが取り除かれると、取り込まれた空気の通り道が広がります。スムーズに空気が流れるようになるため、運転効率も向上します。エアコンが正常に動くことで、冷暖房ともにより快適な室内温度を維持できるようになります。
電気代が安くなる
エアコン効率が上がることで適度な室温が維持できるようになります。温度設定を必要以上に変更しなくてもよくなり、電力消費もおさえられます。結果的にエコな運転ができるようになり、電気代の節約にもつながります。
カビや雑菌の除去
エアコンクリーニングはエアコンを分解して内部まで掃除するため、エアコンの奥で増殖したカビや菌も取り除くことができます。また業者によっては、クリーニング後にオプションで防カビ剤の処理をお願いできます。防カビ剤はクリーニング効果を長持ちさせるため、カビや雑菌の発生を抑制し、快適にエアコンが使えるようになります。
不快な臭いがなくなる
「エアコンから出てくる風が臭う」と感じる場合、多くはカビや雑菌、溜まったホコリが特有の臭いを発していることが原因です。ペットやタバコの臭いがエアコン内に取り込まれ、染み付いている場合も少なくありません。
エアコンクリーニングでしっかりと内部の清掃を行うことで、不快な臭いが発生する原因を取り除くことができる可能性も高くなります。
エアコンの負荷が軽くなり長持ちする
エアコン内部を定期的にクリーニングすることで、細かいパーツを含めて隅々まで清潔に保たれ、キレイな状態が維持されます。このためエアコンにかかる負荷が低減され、エアコンが故障しにくくなり、長持ちすることにもつながります。
エアコンクリーニングが必要な理由
多数のメリットを持つエアコンクリーニングですが、実際に依頼する場合はクリーニング費用がかかります。そのため「できるなら自分でキレイにしたい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかしプロのエアコンクリーニングだからこそ得られる効果、大きな利点も存在します。定期的なエアコンクリーニングが必要になる理由を挙げて解説します。
自分で掃除できる範囲には限度がある
エアコンのフィルターやカバーの場合は、セルフでお手入れすることも可能です。日常的に掃除していれば、エアコン内部は汚れにくくなります。一方でエアコンの奥は自分で掃除するのが難しく、どんどん汚れがたまっていってしまいます。
自分でできる簡単なお手入れとして、市販されているエアコンクリーニング用のスプレーを使う方もいます。ただメーカーは、このようなスプレーの使用を推奨していません。
手軽にできるお掃除方法ではあるものの、使い方を誤るとかえってエアコンが汚れたり、故障したりしてしまうリスクがあるため注意が必要です。専門的な知識が不可欠なエアコン内部の掃除では、自分で掃除できる範囲は限られていることを心得ておきましょう。
奥までキレイにするには専門的な技術が必要
エアコンを奥まで掃除するためには、エアコンのパーツを分解しなければなりません。
エアコンは複雑な構造をしており、知識がない人が分解すると、元に戻せなくなったり故障したりするおそれも考えられます。また、エアコンの内部には水濡れ厳禁の部品もあります。掃除方法を誤ると発火などの事故につながる場合も。
エアコンの掃除は、構造に詳しいプロの業者に任せることが重要です。
エアコンクリーニングの最適な頻度とタイミング
では、エアコンクリーニングはどれくらいの頻度で行えばいいのでしょうか。エアコンクリーニングを依頼するのに適したタイミングとあわせてお伝えします。
エアコンクリーニングの頻度
エアコンクリーニングは、最低でも1年に1回行うのが理想的です。クリーニングをし忘れることのないよう、毎年決まった時期に行うのがおすすめです。実施時期を決めておくことで、日々快適にエアコンを使えるようになります。
ただし、次のような条件でエアコンを使用している場合は、エアコンの内部が汚れやすい状況と言えます。状況に応じてエアコンクリーニングの頻度を増やすといいでしょう。
- 室内でペットを飼っている
- タバコを吸う人がいる
- エアコンの使用頻度が高い
- 幹線道路沿いなどの空気が汚れやすい環境の部屋
おすすめのタイミング
エアコンを使い始める人が多い6〜8月は、エアコンクリーニングの依頼が集中します。年末の大掃除の時期にあたる11〜12月も、エアコンクリーニングを頼む人がふえるため、避けたほうが無難です。これらの時期は、業者の繁忙期にあたり予約が取りにくかったり、料金が高くなっていたりする可能性があります。
エアコンクリーニングの作業中はエアコンが使えないという観点からも、真夏や真冬は避けたほうがいいでしょう。
過ごしやすい気候の春や秋は、エアコンクリーニングをするのにおすすめの時期です。まだエアコンを使っている人が少なく、業者にも比較的余裕があるからです。割引価格でエアコンクリーニングを行ってくれることも。
エアコンクリーニング効果を維持するコツ
エアコンクリーニングでキレイになったら、次のクリーニングの時期までできるだけそのままの状態をキープしたいものですよね。エアコンクリーニング後、キレイな状態を維持するコツや効果を保つための注意点を解説します。
定期的なお手入れを習慣にする
エアコンの外側やフィルターは、定期的に掃除をすることでエアコン内部が汚れにくくなります。ほとんどの機種で、フィルターは簡単に取り外せますから、2週間に1回程度は取り外して掃除をしましょう。フィルターがキレイになると、ホコリをしっかりキャッチする効果も期待できます。また、カバーや吹き出し口も、水拭きでのお手入れが可能です。
冷房・除湿機能を使った後は送風運転をする
エアコンの冷房や除湿機能によって空気が冷やされると、エアコンの内部に結露が発生します。結露を放置すると、エアコンの奥でカビが増殖する要因にもなります。そこで冷房や除湿機能の運転後は、エアコンの内部を乾燥させることをおすすめします。毎回1時間程度、送風運転を行い内部を乾燥させれば、カビが増殖するリスクを軽減できます。
エアコンによっては、送風や弱暖房でエアコン内部を乾燥させてくれる「内部クリーン」機能を持つ機種もあります。冷房や除湿機能を停止した後に自動で「内部クリーン」が作動します。こうした機能を使うのも便利です。
定期的に室内を換気・掃除する
エアコンは、室内の空気を取り込む構造となっています。掃除や換気をして室内の空気をキレイな状態に保つと、エアコン内部に取り込まれる汚れも少なくなります。当然、エアコン内部も汚れにくくなります。
おすすめのエアコンクリーニング業者
ここからはエアコンクリーニングの技術と実績を持つ、おすすめの業者を紹介します。エアコンクリーニングを依頼する際の参考にしてくださいね!